天声人语 20120514 何日燕归来
何日燕归来2012-5-14
今年は歌人斎藤茂吉の生誕130年にあたり、きょうが誕生の日になる。茂吉をよく知らなくても、教科書にも載るこの一首は多くがご存じだろう。〈のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり〉。その名を一躍高めた絶唱である。
今年是和歌诗人齐藤茂吉诞辰130年,而今天就是他的诞辰日。对于茂吉可能大家了解不多,但很多人都应该知道他写的一首诗,这首诗还被收入了教科书中。“红嘴两乳燕,屋梁上呢喃;环顾家四壁,母亲已不在。”这是让茂吉一举成名的名诗。
郷里の山形で生母は5月に死去した。早苗のそよぐ田をツバメが飛び交うころだ。昔は当たり前のように家々に巣をかけていた。しかし今、天上の歌人は心配かもしれない。都会ばかりでなく田園でも、スマートな燕尾服(えんびふく)姿が減っているらしい。
茂吉的生母5月份在故乡山形去世,那正是燕子在秧苗随风轻摇的田间翻飞的时节。以前,每家每户都理所当然会有燕子来筑巢,然而现在的情况可能会让天界的诗人担心不已。因为不单是城市,现在连乡间,那身穿燕尾服的飒爽身姿似乎也越来越少见了。
最近ツバメを見ましたか――と日本野鳥の会が呼びかけている。全国から情報を募って実態を調べるのだという。農地の衰退や巣作りに適した家屋が減るなど、近年の受難は想像がつく。だが詳しいことはわかっていない。
最近看到燕子了吗?——这是由日本野生鸟类协会发起,从全国募集信息调查燕子现状的活动。由于农地的荒耕和适合筑巢房屋的减少等,近年来燕子生存环境之严峻可想而知,但详情还有待调查。
ともに小さくて身近で、まとめて「燕雀(えんじゃく)」と呼ばれるスズメも減っている。こちらは「この20年で6割減」という推計があって深刻だ。この国の津々浦々で、ありふれた生き物が、ありふれて在る環境が損なわれている。
麻雀这种同样是身子小小,生活在我们身边,与燕子并称为“燕雀”的小鸟数量也在减少。据推算,麻雀的数量在“这20年内减少了6成”,这是个让人非常震惊的数字。这说明生活在我们国家各个角落的常见生物以及我们的日常环境正受到损害。
野鳥の会は、原発事故による放射性物質の影響も懸念する。子育て中のツバメはせわしない。1時間に何十回もエサの虫を運ぶと聞く。無心な親鳥と、「のど赤き」新しい命を思えば、罪の意識がチクリと痛い。
野生鸟类协会也很担心核电站事故造成的核辐射物质的影响。燕子在养育幼鸟时是非常忙碌的,据说每小时要给幼鸟喂送几十次小虫子。想到那些毫无防备之心的亲鸟和“红嘴”的新生命,心中的罪恶意识就如针扎一样疼。
ツバメが巣をかける家は繁盛する、と俗説に言う。ツバメの巣くわぬ年は火災あり、とも言う。日本列島という大屋根に、末永く飛来してくれようか。今年まだ見ていないのが、気にかかる。
在民间有燕子来筑巢的家会和睦兴旺的说法,还有燕子不来筑巢那年就会有火灾的说法。燕子会永远飞到日本列岛这个大屋檐下来吗?今年还没看到燕子的身影,我心中隐隐有些担心。